快適の為の敷寝具に求められる性能
眠るために敷寝具にもとめられる性能
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敷き寝具に求められる性能は、掛け寝具と同様の「あたたかさ」「さわやかさ」「きもちよさ」「かるさ」といった性能の他に、
「身体を適切に支える」というとても大切な役割があります。
◆横になった身体を適切に支える事
普段、起きている時の生活では、立っているか、座っている時間が長いと思います。
主睡眠を取る時は、横になって眠る事をお勧めしますので、横になって身体に負担の少ない快適な寝姿勢で眠る事が大切です。
眠る時には、人それぞれ好みの寝姿があると思います。
よこ向き、あお向け、うつ伏せなど。どれも入眠時には自分の落ち着くスタイルで眠っていただければいいのですが、一晩の睡眠中ずっと同じ姿勢で眠っているわけではありません。
あお向け寝から右へよこ向き、またあお向け寝、今度は左へといった具合にあお向けを起点に右へ左へと寝返りをしますので、あお向けでも、よこ向きでも寝たときに正しい寝姿勢を維持できる事が大切です。
◆「気持ちがいい」=「正しい姿勢」ではない
ここで姿勢の話を少し。
日中の様々な生活シーンにおいて、姿勢の大切さが見直されています。
下の絵を見てください。二人の女性が立っているところと、座っているところです。
どちらの女性の姿勢が良いですか。
どちらもピンク色の服を着ている女性が正しい姿勢をしています。
見ていても気持ちいいですよね。
でも、「楽にしていいよ」と声を掛けると青い服の女性のような姿勢をとる人が多くみられます。本当に楽なのでしょうか。
実は少しの時間であれば、気持ちも含めてリラックスできる姿勢もいいのですが、長い時間となると正しい姿勢の方が疲れにくいのです。
これを睡眠で考えると、成人で7時間程度の睡眠時間を正しい寝姿勢で過ごすことは大きなメリットがあります。本来、疲れを取るための睡眠。疲労回復の効果をより良くするためにも、眠るときも正しい姿勢が大切なのです。
◆正しい寝姿勢とは?
私達は、理想的な寝姿勢とは「理想的な寝姿勢とは「まっすぐ立っている姿(正常立位)を、ほぼそのまま横にした姿。」であると考えています。
◆適切に身体を支えるためのキーワードは「おもさ」と「かたち」
人によって体重が違うことは、ご存知だと思いますが、人が横になったときは身体のパーツ(部位)毎にそれぞれ違う重さが掛かってきます。
頭、胸・腕、腰・尻、足といった具合に大きく4つに分けると下図のように、体重に対する割合が変わってきます。
立っている時は全ての体重が両足にかかりますが、寝ている時はパーツによってかかる重さが違ってくるのです。
◆おもさが違えば、支え方も変わってきますよね。
さらに、人は横になった時の下になる部分(あお向けであれば背中)の形状が人によって異なります。私達が今までに立位で背面を測定したデータの集積から、背面の形状特長は大きく分けて下図のような6つに分類できると考えられます。
◆かたちも違えば、支え方が変わってきますよね。
このように、「おもさ」と「かたち」を知った上で自分に合った敷き寝具を選ぶ事が大切になります。重たいところはしっかりと支える。出っ張ったところ引っ込んだところに合わせてフィットするような機能と形状を持った寝具がたいせつになります。
その人に合った支え方が必要なのです。
もう一度言います。私たちの考える理想的な寝姿勢とは、「自然に立っている姿(正常立位)を、ほぼそのまま横にした姿」。理想的な寝姿勢を、維持できるようにその人に合った敷き寝具を選ぶ事が大切です。
これを実現するには、「枕だけ」「敷きふとんだけ」を新調してもなかなか上手くいきません。
敷きふとんと枕の両方を同時に合わせることで可能な、この理想的な寝姿勢をぜひ実現して下さい。
最後に、これまで「人のからだのこと」「眠る場所のこと」「眠るための道具のこと」についてお話しさせていただきましたが、これを全て理解したからと言って毎日必ずいい睡眠がとれるわけではありません。
睡眠には他の要因も多く関わってきます。例えば「心配事が多くて不安」などといった心の状態も大きく影響します。まずは、しっかりといい睡眠を取る準備をする事で、おふとんの中が心地良い場所になり、ねむることが楽しみになる!そうすれば、毎日のいい睡眠に一歩近づくと思います。
いい睡眠を取って、イキイキと健康的な毎日を送りましょう。
資料提供 西川・日本睡眠科学研究所